患者・家族の会とは

患者・家族の会について、ご紹介します。

はじめに

ガンを宣告されると、一瞬目の前がまっくらになる。しかししばらくして立ち直って考えはじめる。治療法は科学的に効果のあるものでなければならないが、同時にこれからの生活の質を保障してくれるものでなければならない。つまりひどい副作用があったら困る。そう考えて私は丸山ワクチンを選んだのだが、当時はすさまじい偏見にとりかこまれていた。丸山ワクチンは水のようなものでまったく有効性がない、迷信のようなものだなどなど。

偏見はどこにでもあることだが、ときが解決してくれることもある。たとえば丸山千里先生が前からいっていたような「ガンとの共存」などという言葉は、今ではガンの専門家が多く口にするようになった。そもそも濃度の高いものはのち「アンサー20」として認可された。しかし時を待っていただけでは認可制の下では気に入らない薬は世の中から消されてしまう。そういう意味で、多くの人々からの協力をいただいた我々の運動はある程度成功したのではないか。

私はあれからもう30年間近くワクチンをうちつづけている。丸山ワクチンは第一にガンとの共存を余儀なくされた場合に生活の質を保ちながら延命をすること、第二に手術後できるだけ早くうつことによって再発を減らすこと、第三に予防というと不正確になるが、ガンが目に見えないうちにガンを征圧することの三つの効用をもつと思っている。私は第二と第三の効用を考えながらうちつづけているのだが、丸山ワクチンを多くの人が利用しやすくするために、これからも認可に向けていっそう努力を続けなければならないと考えている。

篠原一

丸山ワクチン 患者・家族の会代表
東京大学名誉教授
篠原一

篠原一は、2015年10月31日老衰のため死去いたしました。
新たな代表はまだ選出していませんので、空席となっています。

これまで(会の歴史)

会の結成

正式名称「丸山ワクチン製造認可を促進する患者・家族の会」。東京大学教授(当時)篠原一の発案によって、1980年6月1日に結成されました。

篠原は、1973年ガンの手術をし、その後放射線療法を受けましたが、副作用が強く白血球の激しい減少をみました。1975年から丸山ワクチンを使い始め、そのせいかどうかは断定できないものの、経過は良くなりました。そのころ丸山ワクチンは厚生省(当時)に認可申請され、薬事審議会での審査中でしたが、いわゆる“権威”の丸山ワクチン批判や厚生省の不公正な取り扱いに怒りを覚えた篠原は、早期認可のための運動を起こすことを決意しました。

こうして篠原を中心として数名の代表(いずれも患者本人、あるいは家族)と、ボランティア数名による事務局(事務局長 南木雅子)によって構成される「会」が誕生しました。

園田厚生大臣請願

1980年10月22日篠原一他代表者数名は、約4万人の署名を携えて厚生省を訪れました。園田厚生大臣(当時)は、「私の選挙区でも数10人の患者が助かっているので、丸山ワクチンのことは良く知っています。担当の人たちにも私の意向は既に伝えてあります」と好意的な態度で迎えてくれ、参加者はこれで認可の道は開けたと安心したのでした。

1981年2月12日「会」の代表者たちは、2回目の請願陳情を行いました。園田厚生大臣は相変わらず好意的で、皆、認可への期待をふくらませました。

丸山ワクチンをめぐる国会での議論

衆議院議員草川昭三は、「会」が結成される以前から丸山ワクチン問題を、国会の場で取り上げてきました。社会労働委員会(社労委)における数回の質問で、丸山ワクチンが、当時非常に短期間の審議で認可されたクレスチン・ピシバニールと比べて、差別的な扱いをされているのではないか等について追求し、園田厚相の「今後は差別待遇であるとか、いやがらせ、これは絶対にさせないことをここで誓います」という答弁を引き出しました。

衆議院議員菅直人も社労委で、クレスチンやピシバニールの開発者やデータ作成者が薬事審議会の委員に名を連ねている1人2役問題を取り上げ、審議内容の情報公開を求めました(この1人2役問題について、「患者・家族の会」では、3名の委員について、1981年7月21日厚生大臣村山達雄に罷免申立てをしました)。

厚相交代そして不認可答申

薬事審議会の抗悪性腫瘍調査会で追加資料に基づく丸山ワクチンの審査が再会された1981年5月、厚生大臣が園田直から村山達雄に代わりました。「会」では早速、村山厚相に陳情請願をしましたが、発言が園田厚相の時より後退している印象を受けました。

1981年7月10日「調査会」は、「有効性を確認できなかった」との最終意見を発表し、これを受け中央薬事審議会は8月14日、「有効性を確認できないので、現段階では承認することは適当でない。・・・無効と断定するものではない・・・引き続き試験研究を行う必要がある」という結論を厚生大臣に答申しました。

「患者・家族の会」の陳情攻勢

7月10日の「有効性を確認できない」という発表の後、患者・家族の間で「丸山ワクチンはなくなってしまうのではないか」という不安がわきおこり、ワクチン研究施設の受付日に来院する患者・家族の有志たちで連日のように厚生省に陳情にでかけました。

厚生省は、「丸山ワクチンを有償治験薬として供給を継続する」「2回目以降は郵送で申し込みができるようにする」ということを骨子とする取り決めをゼリア新薬工業と結び、1982年から丸山ワクチンの有償治験制度がスタートしたのです。
この制度は3・4年ごとに治験期間が延長され、1998年5度目の延長の際、期限を定めない延長という形で現在に到っています。

現在の「患者・家族の会」の活動

1980年以来、認可を求める署名運動を1つの柱として、超党派国会議員の丸山ワクチン懇談会(代表 前衆議院議員深谷隆司)と連携して厚生省に働きかける等の活動を行ってきましたが、残念ながらまだ丸山ワクチンは認可されていません。

とはいえ、“丸山ワクチンつぶし”という言葉があったほど厳しい状況のもとで、なんとか有償治験薬として生き延びることができました。これは丸山ワクチンが多くの人々に支持され使用されている現実を、厚生省(現厚生労働省)が無視できなかったことによります。その意味では、「患者・家族の会」の活動もある程度役に立ったのではないかと自負しています。

また、丸山ワクチン問題をきっかけとして、それまで密室で審議されていた薬事審議会の内容や委員について、情報公開を求めることが出来るようになりました。薬害エイズ問題でもわかるように、製薬業者寄りの薬事行政に対する1つの批判となったことの社会的意義も評価されてよいと思います。

1998年の「期限を定めない延長」は、丸山ワクチンの供給確保という意味では患者・家族に安心を与えましたが、一方、認可ではなく有償治験という状態を固定化させることになるのではないかという危惧もあります。

治験薬は、使うために医師の承諾が必要となります。しかし、認可されていないということで承諾をためらう医師も多いようです。また、輸出ができないので、外国で使いたい人にとっては薬の入手がとても困難になってしまっています。「会」としては、あくまでも認可を求めて今後も活動を続けていきますので、ぜひ皆様のご理解とご支援をお願いします。(文中・敬称略)。

事務局メンバーから一言

南木(みなき)雅子

1980年に「丸山ワクチン 患者・家族の会」が結成された時、事務的な手伝いをしてくれないか、ということでこの会にかかわるようになりました。最初はあまり問題意識もなく、署名を集めて整理をすればよいというほどの気持ちでした。

1981年の薬事審議会の結論は、大ショックでした。当然認可になって、私の役割も終わると思っていましたから。有効性が確認できないという結論が出されて、丸山先生はどんなに気落ちなさったことだろう、患者さんも減ってしまうだろうと考えました。ところが翌日私が見たのは、病院の玄関までつながる丸山ワクチンを求める人々の列と、いつもと変わらず真剣に患者さんの話に耳を傾ける丸山先生の姿でした。

この時から、先生の「ワクチンを求める人すべての方に使っていただきたい」という信念を私も受け継ぎたいと思い、20年あまりが過ぎてしまいました。力が及ばず十分なアドバイスができなかったり、相談相手になっていた患者さん、特に若い方が亡くなった時などは、とても悲しく落ち込んで、「いくらボランティアでも、もうできない」と思ったこともあります。そんな時は、丸山先生の姿を思い出して、気持ちを奮い立たせてきました。

丸山ワクチンは決して奇跡の薬ではありません。しかし大きな可能性を持った薬で、副作用がほとんどありません。ガンの患者さんが治療のベースとして丸山ワクチンを使い、その上でほかの治療を加えていくことが出来たら最良だと思います。もう末期だからとあきらめないでください。もっと早く使っていればと悔やまないで下さい。丸山ワクチンをと思いついた今が大切です。使うためにいろいろ困難な状況もあるでしょうが、あきらめないで努力すればきっと道は開かれます。そのための御手伝いが出来れば、とてもうれしいと思います。

斉藤 英子

「ガンになっても丸山ワクチンがありますよ!」当時お世話になっていたM弁護士の一言が私と丸山ワクチンを結びつけるきっかけとなりました。丸山ワクチンとは何なのか? なぜ使えないのか? なぜ使わないのか?

主婦の素朴な疑問はM氏夫人がすでに「丸山ワクチン早期認可の為の請願運動」に携わっているということもあって、そのボランティアの仲間入りをさせていただくことになったのでした。

果たして専業主婦の私に何が出来るのか自問自答しながらの覚束ないスタートでしたが、まさにワクチンをつかうためのさまざまの問題は、ガン患者の家族が背負ったそれぞれの苦労も含めて、所詮一主婦の力及ぶところではないことを痛感しつつの20年余でした。私なりに向き合って行くしかない、心のふれあいを第一に少しでもお力になれればと願っております。

横山 妙子

この会に関わるようになりましてから、ガンと向かい合っておられる方々から多種にわたってお話を伺ってまいりました。このような経験を土台にしてこれからもお役に立てればと思っております。

根津 真佐子

「丸山ワクチン 患者・家族の会」にかかわるようになって約21年になります。多くの患者さん、ご家族の方々にお会いしましたが、最も強く感じることは、特効薬のない病気と闘っていらっしゃる患者さん方が、あまりに救済されていないということです。患者さんを主体にした薬事行政、医療行政が為されていないということ。患者さんとご家族の精神的なケアが不在ということです。微力ですが少しでもお役に立てればと思っています。

児玉 真理子

相変わらずガンの患者さんは多いと思います。大学病院の医師が主治医で、丸山ワクチンを打ってくれない、どうしたらいいか?という相談が、あとをたちません。患者さん、ご家族が望んでいるのだから、たとえ認可されていなくても、どこの病院でも、早くワクチンが使用できるようになるといいと思っています。

活動内容

電話相談

「丸山ワクチンを使いたいが、いろいろ問題があって」という方のご相談相手になっています。ボランティアが交代で受けていますが、医師ではありませんので、専門的なことにはお答えできないこともあります。しかし、長年の経験からお手伝いできることはあると思いますので、困った時は、お問い合わせください。

来院相談

直接いらして相談することも可能です。丸山ワクチンの説明会を聴くこともできますし、丸山ワクチンについての書籍、資料などもありますので、迷っていらっしゃる方は、1度お訪ねください。

かたろう会

~かたろう会~は、がん患者やご家族の様々な悩みや不安を自由に語り合う場です。ご家族をがんで亡くされた方やご友人、どなたでもご参加ください。

※医療相談ではありません。
●日時:毎月第1月曜日 (祝祭日の場合は次の月曜日) 14:00~16:00
●場所:日本医科大学ワクチン療法研究施設内
●参加費:無料
●事前のお申し込みは不要です。

書籍・DVD紹介

「患者・家族の会」では、丸山ワクチンに関する書籍、DVDを取り扱っています。お気軽にお問い合わせください。