協力医に聞きました第3回「中野島北口コガワクリニック 古河哲哉院長」
丸山ワクチンを続けたい。でも、注射してくれる医師が見つからない―。近年、協力医の高齢化などにより、患者さんやご家族からそうした切実な声が寄せられています。
「協力医に聞きました」は、丸山ワクチンに理解を寄せ、患者さんを支えてくださっている先生方にお話をうかがう連載です。
第3回は、神奈川県川崎市多摩区の中野島北口コガワクリニック院長・古河哲哉先生に、丸山ワクチンとの出会い、これまでの経験、患者さんへの思いを聞きました。
探して来てくださる患者さんは、できるだけ受け入れたい
古河先生のクリニックには、丸山ワクチンを希望する患者さんが各地から訪れます。先生は「わざわざ探して来てくださるのはありがたいこと。やっているところが少ないから、来てくださる方はできるだけ受け入れたい」と話します。患者さんにとって、治療そのものだけでなく「続けられる場所がある」という安心感は大きな支えになります。
丸山ワクチンを知ったのは学生時代
古河先生が丸山ワクチンを知ったのは、医学生になる前のことでした。横浜・磯子の図書館でたまたま手に取った本で丸山ワクチンのことを知り、「医師になれたら、いつかこういう治療に関わってみたい」と思ったのが出発点だったといいます。
もともとは外科医を志していましたが、研修の中で肝臓がんのカテーテル治療に出合って手応えを感じ、消化器内科の道へ。横浜市立大学の第三内科で、消化器疾患や糖尿病を学びながら、がん医療に関わるようになりました。研修医のころから、受け持ち患者さんに丸山ワクチンを補助療法として使った経験があったそうです。
高校時代のヨガ体験が育てた、医療へのまなざし
古河先生が丸山ワクチンに強く関心を寄せる背景には、高校時代にヨガに深く親しんだ経験もあります。「人間の体には、もともと自分で治ろうとする自然治癒力があるんじゃないか」。そうした感覚は、体や心を全体として見つめる先生の医療観にもつながっていきました。
そのため古河先生は、抗がん剤で少しだけ延命できたとしても、副作用でつらい時間が増えてしまうことには、若いころから疑問を感じていたといいます。命の長さだけでなく、患者さんがどのように生きるか、どれだけ楽に過ごせるかを大切にしたい。その思いが、丸山ワクチンを見つめるまなざしにも重なっています。
「がんを治す」よりも、痛みと絶望を和らげる力
古河先生は、丸山ワクチンについて「がんを完全に治す薬」とは考えていません。がんを根治させるという意味では限界があると見ています。一方で、まったく効果がないとも思っていません。特に、転移したがんや痛みに対しては、思わず「すごい」と感じるような変化を経験してきたといいます。痛みが軽くなり、体が楽になる効果については、多くの患者さんに感じてきました。そこには、病気だけを見るのではなく、患者さんの苦痛や不安、生きる力を含めて支えたいという、先生の医療へのまなざしがあります。
印象に残っている症例のひとつが、研修医として内科の医局に入ったばかりのころに受け持った、肺がんが骨に転移していた患者さんです。外来カルテには長く「胸痛」と書かれていましたが、整形外科への紹介をきっかけに、痛みの原因が肺がんの骨転移であることがわかりました。入院後、古河先生はまずモルヒネによる痛みの治療を始めましたが、そのとき「待てよ、丸山ワクチンだ」と思い出し、丸山ワクチンも使ってみることにしました。すると、半日から1日ほどで痛みがなくなったように見えたといいます。先生自身も「こちらの思い込みかもしれない」と慎重に受け止めましたが、その後、丸山博士の本にも骨転移の痛みが消えるという記述があることを知り、転移したがんや骨転移の痛みに対して何らかの働きがあるのではないかと考えるようになりました。
もうひとつ、古河先生が強く印象に残しているのが、稲田登戸病院時代に診た胃がんの患者さんです。胃がんが肝臓に転移し、肝臓が大きく腫れて症状が出ていたため、かなり進行した状態でした。腫瘍マーカーも高く、通常は5以下とされる数値が40ほどあり、手術で治すことは難しいと考えられる状況でした。ところが、丸山ワクチンを使い始めると、患者さんの体調が少し落ち着いてきたといいます。さらに3か月ほどたつと、肝臓の転移が画像上わからないほどになり、腫瘍マーカーも40から5以下へ下がりました。当時は合う抗がん剤が多くなかったこともあり、古河先生にとっては非常に大きな驚きでした。ただし、その後もワクチンを続けていたものの、しばらくすると再びがんが増えてきました。先生はこの経験から、丸山ワクチンには強い効果が出る場合がある一方で、完全にがんを治すものではないとも感じるようになったといいます。
最近も、古河先生が驚くほどの効果を感じている患者さんがいます。92歳の男性で、高血圧などで古河先生のクリニックに通っていた方でした。便に血が混じるようになり、大きな病院で検査を受けたところ直腸がんと診断され、大学病院で手術を受けました。しかし肺に3か所ほど転移が見つかり、「余命は半年ほど」と告げられたそうです。高齢のため治療は難しいとされ、訪問診療につなぐよう紹介状を持って、古河先生のもとへ相談に来ました。
そこで古河先生が丸山ワクチンを勧めると、患者さんは熱心に注射を続けるようになりました。余命半年と言われてからすでに半年以上が過ぎていますが、現在も元気に過ごしており、肺の転移も進行せず、いくつかは半分ほど消えているといいます。ただし、1か所だけミリ単位で大きくなっている病変があり、現在は高齢のため手術ではなく、凍結療法などの可能性を検討しているところです。古河先生にとってこの症例も、丸山ワクチンには完全にがんを治すとは言えないまでも、患者さんによっては驚くような変化が見られる場合があると感じる経験になっています。
古河先生が特に大切だと感じているのは、患者さんの心の支えとしての役割です。「なすすべなし」と告げられる絶望が、どれほど患者さんの心を折り、生命力を奪ってしまうかを、先生はよく知っています。丸山ワクチンは、わらにもすがる思いで治療を探す患者さんを絶望から救い、「まだできることがある」という生きる希望を与える。そうした効果もあるのではないか、と先生は語ります。
近年、免疫療法への注目は高まっていますが、古河先生は丸山ワクチンを、免疫療法の先駆けのような存在としても捉えています。効果がはっきり表れるがんと、表れにくいがんがある。その違いは何なのか。先生はそこを究明したいと考えており、有償治験で蓄積されたデータを見ることができれば、丸山ワクチンの位置づけをより科学的に考えられるのではないかとも話しています。
早期発見と、手術までの不安を支える選択肢
古河先生が診療で大切にしているのは、早期発見です。開業前から胃カメラ検診やピロリ菌検査に力を入れ、胃がんや大腸がんをできるだけ早く見つけることを重視してきました。ピロリ菌がいる胃は内視鏡で見たときの印象が異なり、経験を重ねるうちに「いそうな胃」と「きれいな胃」がわかるようになってきたといいます。
丸山ワクチンについては、特に「がんが見つかってから手術までの期間」に使う意味を感じているそうです。外科医不足によって手術まで数か月待つことが普通になりつつある現在、患者さんは転移への不安を抱えながら過ごします。古河先生は「手術までの転移を抑えるため、そして不安を支えるための選択肢として、丸山ワクチンを勧めています」と話します。
重篤な副作用がないからこそ、患者さんに提案しやすい
古河先生が丸山ワクチンの最善の特徴として挙げるのは、重篤な副作用がないことです。「副作用がほとんどないことは大きい。こちらも勧めるときにためらわなくて済む」といいます。クリニックでは、診察のついでに注射していることにして、注射代を取っていないそうです。患者さん自身がワクチンを購入するとはいえ、がんで働けない方にとっては少額の負担も重く感じられることがあるからです。
治療効果や延命効果は限定的かもしれない。それでも、転移したがんや痛みに対しては大きな変化が見られることがあり、痛みを和らげ、体を楽にし、患者さんの気持ちを支える緩和ケア的な効果もある―。古河先生は、長年の臨床経験からそう実感しています。だからこそ、研修医時代から現在まで、丸山ワクチンを希望する患者さんに向き合い、打ち続けてきました。
「本当に必要としている人のために、なくなってほしくない」
抗がん剤や免疫療法は進歩し、治療の選択肢は広がっています。それでも、進行した段階で使える治療が限られてしまう患者さんはいます。古河先生は、有償治験が将来どうなるのかを心配しながらも、「本当に末期になったときに使えるものが何もない人たちのために、この薬はなくなってはならない」と話します。
丸山ワクチンを必要とする患者さんが、注射をしてくれる医師を見つけられずに継続を断念することがないように。古河先生の言葉には、患者さんを受け入れ、できる範囲で支え続けようとする協力医の姿勢がにじんでいました。
取材後記
古河先生のお話から伝わってきたのは、丸山ワクチンを「がんを治す薬」として単純に語るのではなく、痛みを和らげ、患者さんの心を支え、生きる希望をつなぐ選択肢として大切にしている姿勢でした。治療の継続先を探す患者さんにとって、こうした協力医の存在は、大きな希望になります。
※この記事は、医師個人の臨床経験と見解を紹介するものです。治療の選択にあたっては、主治医と十分にご相談ください。
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