患者・家族の会 懇談会

~乳がん患者と語る~

「丸山ワクチン患者・家族の会」では「卵巣がん」「胃がん」に続き、今回は「乳がん」の患者さんにお集まりいただいて3回目の懇談会を開催しました。40代、50代の働き盛りが一番多い乳がん。患者会もたくさんあり、治療情報を交換したり、様々な悩みを相談したり、社会に検診を呼びかけるなど大きな役割を果たしています。

お忙しい診療の合間を縫ってご出席くださった飯田信也先生、ならびに岩城弘子先生、そして闘病体験をお話しくださった乳がん患者の皆様に、この場を借りて心から御礼申し上げます。

日時 2010年11月15日(月)13:30~16:00
日本医科大学付属病院ワクチン療法研究施設
出席者 乳がん患者7名 A~Gさん 患者家族1名 Hさん
上記6名が、がん治療を受けた主たる医療機関
大学病院:3名
  千葉大学
  慶応大学
  北里大学
癌研有明病院:1名
埼玉県立がんセンター:1名
済成会病院:1名
私立病院:2名
飯田信也医師(日本医科大学付属病院第一外科乳腺科)
岩城 弘子医師(日本医科大学付属病院ワクチン療法研究施設)
南木雅子(丸山ワクチン患者・家族の会)
丸山晶子(NPO丸山ワクチンとがんを考える会)

乳がん患者懇談会を開くにあたって

岩城医師

寒い中、お集まりくださいましてありがとうございます。今年の7月か8月でしたか、国立がんセンター東病院(千葉県柏市)で治療中のある食道がんの患者さんが、主治医の先生からのお手紙を持って来られました。「患者さんが丸山ワクチンを希望されているので検討したいから資料を送ってほしい」という内容で、1週間後には最初の診断のデータなども送ってくださり、「がんセンターとしてワクチン投与を検討して決めます」ということでした。
こういうことはかつてなかったことで、今までがんセンターでは、患者さんの話を聞きながら治療しようという雰囲気はなく、標準治療といって体表面積などで抗がん剤の量を決めたりしていましたので、患者さんによっては、副作用が強く出て大変苦しまれる方もいました。ただ、丸山ワクチンを投与していると少し楽だということは事実です。
医者の手を離れるようになってからでも、その方にまだ体力が残っている間は、丸山ワクチンの働きで、体内で繊維芽細胞ががんを取り巻いて、がん細胞に栄養が行かないようにする。繊維芽細胞はコラーゲンの元ですね。皆さん、コラーゲンを食べればいいと勘違いされていますが、自分の体内で作るコラーゲンのことですから、普通の食事でとることができます。その繊維芽細胞ががん細胞を取り巻いて、血液をがん細胞に入れないようにするということを、川崎医科大学病理学の木本哲夫先生が論文に書かれています。乳がんについても、患部が潰瘍化し少し崩れていたのが、ワクチンだけできれいになった、という症例を写真入りで報告されています。
がんは人それぞれ違いますので、どのように治療したらうまくいくという決まりはありませんが、やはり気持ちで負けないことが大事ですよね。 病気のことで少しでも役に立つことができないかということで、今日お集まりいただきました。まずひととおりお話しいただいて、その後今現在の治療で一番お聞きになりたいことをお話しください。

それぞれの体験を語る

QOLを下げず、普通に暮らす時間を長くしたいと思います

Aさん 2005年10月(52歳) 乳がん(Ⅱ期 リンパ節転移あり) 温存手術
2007年春と秋にリンパ節転移切除手術
2008年秋放射線治療 現在まで継続的にホルモン療法(フェマーラ* ノルバデックス* アロマシン* アリミデックス* フェアストン*)
2010年骨転移 4~9月抗がん剤TS-1* ゾメタ* 投与(TS-1は中止)5年経過
丸山ワクチン歴2007年11月より3年 AB隔日

術後1年半でリンパ節に転移、5年後には骨に転移

私は2005年に、左乳がんの温存手術をしました。1年半後に首の左のリンパ節に転移が見つかり手術。その半年後にまた出てしまって2回目の切除。約1年後左首全体が腫れ、放射線治療をしました。
その後しばらくは落ち着いていたのですけれども、今年の初め頃から腫瘍マーカー値が上がってきて、結局、骨の転移が3、4か所見つかったのですが、CTやPET検査などでもなかなかはっきりしなくて、ずっともやもやした感じで闘病生活を続けています。
3月に骨の転移がわかってから、TS-1の隔日療法を始めました。岩城先生にご相談して、「5日飲んで2日休む」とか、いろんな方法を考えて、なるべく副作用がないように服用していたのですが、それでも副作用はかなりきつかったですね。1、2か月やったんですが残念ながら効果がなくて。
夏ぐらいから浮腫みが出て、腎臓が悪化。クレアチニンの数値が10月初めに2.6になり入院。どんどん数値が上がり、透析寸前までいってやっと尿管がつまっているとわかり、尿管にステントを入れる手術をしました。そうしたら尿も大量に出て、1週間で腎臓の数値もあっという間に下がり、今は完全に正常値になりました。でも、尿管が閉塞した原因も、腫瘍マーカー上昇の原因も不明で、今週末のPET検査の結果を見て、先のことを考えようと思っています。

腰痛と咳でQOLが低下、ワクチンで元気回復

もともと外出好きだったんですけど、すごく腰が痛くて、休み休みじゃないと歩けない、10分か15分が精いっぱいで、今日も東大前からタクシーに乗って来たんです。
少しずつ仕事にも復帰しようと思っていたんですが、原因不明の、気管支の辺りに何か絡んでいるような咳がずっと止まらないので、それもできず……。
丸山ワクチンは3年前から始めて、私の場合は残念ながら病気の進行を抑えられていないようですが、元気をもらうということで、何か仕事をしなくてはならないときは毎日注射をしてもらったり、ずいぶん助けられています。主治医が「丸山ワクチンOK」なので、家から2、3分の病院で注射できて、とてもラッキーです。今、腰が痛くて毎日通うのがきつくなってきたので、先ほど岩城先生から「1日置きに倍投与」というやり方もあると伺い、その方法でまたちょっと元気を回復しようかなと思っています。

元気で暮らせる時間を長くしたいとの思いで治療

はじめは慶応病院の近藤先生にかかっていましたが、私自身もQOLを下げず、元気でいられる時間を長くしたいという考えで、いわゆる標準治療をしていないものですから、セカンドオピニオンを求めたら、「えっ?」と言われそうです。
リンパ節に転移したときも、転移のあったリンパだけを切除。抗がん剤も今年の3月にTS-1を受けるまで、一度も使っていません。ホルモン剤だけでやってきたんです。 主治医が近藤先生だったからということではなく、私自身が、ただ生き長らえるということにはあまり興味がなくて、普通に暮らせる時間を長くしたい、病気になってからずっとそういうふうに思っていたからです。TS-1を始める前までは、私の病気のことは、多分親しい人以外は知らないぐらい、元気に普通に暮らしていたんです。けれども、抗がん剤を使ってから、それだけが原因ではないとは思いますが、なかなか前と同じようには動けなくなってしまって。それがすごく残念で、何かいい方法があって、少しでもふだんと同じような生活ができるようになったらいいなと思っています。
今、ですから一番の悩みは腰の痛みと咳、これさえ落ち着いてくれれば仕事にも復帰できるのに、という感じです。

岩城医師

よくわかりました。ありがとうございます。 次の方は、ご本人ではなく、娘さんが乳がんで、ワクチンは使っていらっしゃらないのですが、皆さんのお話を聞いて参考にしたいということで、お出でいただきました。

娘のがんに効くものであれば、どんな治療でも受けさせたい

さん 患者の母 娘2010年(41歳)で発症 リンパ節転移あり 抗がん剤投与4回目 丸山ワクチン歴なし

手術、抗がん剤、放射線以外の治療に懐疑的な娘

友人の紹介で今日の会合を知り、参加させていただきました。 6歳と8歳の2児の母で41歳の娘のことなのですが、9月6日に5.2㎝ぐらいの乳がんが見つかりました。もう既にリンパ節にも転移していました。大学病院で抗がん剤治療を始め、明日が4回目。抗がん剤で小さくして手術、ということになるのだと思います。
抗がん剤投与後の3日間ほどはもう寝たきりというような状態で、バナナとかキウイとか、ほんのわずかしか食べられず、1週間ぐらいするとやっと起きて食べられるようになり、それから食欲が出てきて、昨日あたりからどんどん食べて元気になって、起きてくれているんですけれども。
つい最近、かかっている大学病院で、骨への転移がないかどうかシンチ検査をしてきて、多分明日、その結果もわかると思います。

がんに効果的な治療があれば何でも受けさせたい

今、孫も私が引き取って育てているので、家族が引き裂かれて暮らしている状況です。  私の姉が昨年の1月に子宮体がんで亡くなりまして、手術後3年でした。娘のがんがもうリンパに転移しているというので、「3年じゃないかな?」なんて思ったりもするのですが。まだ年齢も若いし、とにかく少しでも長く子どもの成長を見届けてほしいのです。
娘自身は非常に懐疑的というか合理的というか、スピリチュアルなものとかその類のものは信じないタイプの人間で、ワクチンとか、代替医療にも期待せず、抗がん剤とか手術とか放射線とか、通常の治療でいきたいと思っているようなのです。私としては、がんにいいものであれば、どんな治療でも受けさせたいと思っております。「丸山ワクチンが効果的なのかどうなのか?」「注射はどのようにするのか?」ということを知りたいと思っています。

岩城医師

そうですか。ありがとうございました。お母様は非常に悩んでいらっしゃるようですね。確かに、お考えはそれぞれ違いますので。やはり一番大事なのはご本人の意思ですね。医師としては、ご家族というよりご本人の意思に沿っていきたいというふうに考えております。 抗がん剤で小さくして、それから手術というのが一番順調ないき方ですけれども、その前に転移があるかどうか、全身的なことをきちっと調べておかなければいけないですね。また今後いろんな状況の変化があると思いますので、それに応じてお母様からアドバイスできることもあると思います。皆様の話も参考にお聞きになってください。

生きていることが第一、できることは何でもやってみる

Bさん 2002年1月 (55歳)左乳がん(Ⅱb期 リンパ節転移6箇所)切除手術 放射線 ホルモン療法(リュープリン* ノルバデックス)
2006年8月 骨、リンパ節、消化器転移のためアリミデックス、ゾメタ投与  8年11か月経過
丸山ワクチン歴 2009年1月より2年弱 AB隔日

発見時はⅡb期、5年目に広範な骨転移と消化器官転移

「丸山ワクチンはただの水だ」と言う方もいらっしゃるようですが、私は「ただの水でもいいんじゃないか」と思っています。
私のがんは末期ですから、効くか効かないかの議論よりも、少しでも長く生きればいいと思ってやっています。 2001年12月にがんがわかったんです。それで、翌年1月に手術、かなり重症でしてね、私、医者から怒られましたよ。大きさが4.8㎝で、聞いてみたら、リンパ節にも6個転移していました。県立がんセンターで手術して、放射線とホルモン剤、リュープリンとノルバデックスを飲みましたけれども、5年目(2006年)で再発しました。再発というより転移ですね、かなり広範な強烈な骨転移で、頸椎から仙骨まで多数。それから左右腸骨と大腿部が真っ黒、あと鎖骨、それから背骨、バラバラとゴマ状に散っていたんですね。それに、十二指腸、肝臓、腸内に、リンパ節転移……、もう長くないなと思ったんですけど、アリミデックスというホルモン剤、これが効いたんですね。それで一応生き長らえております。

藁にもすがる気持ちで丸山ワクチンを、アリミデックスも効いて

丸山ワクチンは話には聞いていたんですけど、『丸山ワクチンはなぜ「認可」されなかったか』という本を偶然図書館で読んで、それで「患者・家族の会」に電話をした記憶があります。とりあえず少しでも生きたい、藁にもすがる気持ちでした。がんセンターでは多分NOと言われると思って、近所のお医者さんを紹介してもらい、2年ほど前に丸山ワクチンを始めたんです。 ひどい骨転移から4年ほど、来年のことはわかりませんが、とにかく今は生きています。「アリミデックスと丸山ワクチンの効果」と思うようにしています。
抗がん剤だけでは非常に不安で、自己免疫力を高める必要を感じて、どちらも両立させて治療をしていきたいということがすごくあったので、副作用がない丸山ワクチンの連日投与のほか、漢方と、帯津先生のところでホメオパシーでレメディーというのをやっています。
退院後2か月ぐらいは体調が戻らず、体重も増えず、輸血もしたんですが、9月の半ばから何かすごく調子が良くなり、今体重が42kg。食欲もあって食事がとれ、食べると下痢の繰り返しというのも大分減って、腸が動き出したと感じられるようになりました。丸山ワクチンの先生からも『良い傾向』と言われ、落ち着いています。

丸山ワクチンの鎮痛効果、手術、抗がん剤との併用も視野に

仕事は1月から、病欠から休職という形でずっと休んでいます。 体調が良いと極力外に出たりもしますが自宅中心の生活で、ひとりで自宅で過ごすことに慣れていないせいか、職場に戻りたいという気持ちも出てきて、逆にストレスがたまってきます。 今後、その辺と体力との関係をどうしていくのかなというのが課題ですね。
お話を伺っていて、とても参考になりました。本とかテレビとか情報はたくさんあっても、よくわからないというか、感覚的なところでもつれちゃったりするので、こういう機会があると助かるかなと。 先生たちからお話を聞くことはあっても、患者さん同士の話はないですし。
実は父も同じスキルスで亡くなっているので、スキルス胃がんと言われた時も、情報検索すると「とても怖い」とか、「そんなに長くもたない」とか、そういうことばかりが先に出ているので、今日出席して「ああ、がんばっている方もいらっしゃるんだな」と思って、すごく力になります。

岩城医師

骨にいくと痛むということが多いんですが、でも、痛みには割合とワクチンは効果があることもわかってきています。 それから、何も使いたくないという方も結構いらっしゃるんですが、アリミデックスは、やっぱり使っていただきたい薬ですよね。 関西にお住まいなので今日はお出でになられていませんが、丸山ワクチン初回の面談で「アリミデックスぐらいは使ってみたら」とお話ししました。その方も直径10㎝ぐらいとかなり大きくなっていて、ある国立大学からの勧めで、芦屋の緩和病院へ行かれました。そこでアリミデックスと、「1回ぐらい抗がん剤を使ってみませんか?」と提案され、タキソテール*とカルボプラチンを使われたら、10㎝から7㎝と小さくなり、その後、3㎝になって、これなら手術できるというところまで来ました。それでも手術は嫌だとおっしゃっているようですが。何も使いたくないとおっしゃっていた方でも、やってみて、効けばいいということもありますよね。

少しでもプラスになると信じて続けているワクチン

Bさん

効けばいいと思います。別に西洋医学を否定する必要もないし、丸山ワクチンと併用できるんですから、できることはしたほうがいい。ただの水かどうかは使ってみなければわからないと思うんです。

Hさん

私もそういう考えなんですけど、娘夫婦は否定的なので。どうやって説得しようかなって……。

Bさん

私もがんセンターにもきちんと通って標準治療はやっていますよ、もちろん。ワクチンは家から歩いて2、3分の内科で、インスリンみたいに、おなかに注射をしてもらっています。
「私、どのくらい生きていられるのかな」って思いましたけど。 明日はわからないのですが、死ぬまでは生きているんですから、このまま打ち続けようと思っています。また腫瘍マーカー値が上がるかもしれないし、どうなるかはわからないけど、少しでも丸山ワクチンがプラスになると信じて。それで今日もこの会に参加しました。

岩城医師

Bさんは骨の転移もあり、いろいろご苦労なさってもう9年近くなりますが、ワクチンはまだ始めて2年ぐらいという方です。お話を聞いて、私もびっくりしているんですけどね。今日はすごく頑張って来ていただいて、ありがとうございました。
(手術が長引いて遅れていた飯田医師が到着。闘病体験談続く)

発病後も走り続け、東京マラソンでも完走しました

Cさん 2006年10月 (46歳) 右乳がん(Ⅱa期 リンパ節転移2か所) 温存手術
放射線治療 抗がん剤 AC療法(アドリアシン*+エンドキサン*) 4クール
2008年5月~2009年6月 分子標的薬ハーセプチン* ホルモン療法
2007年6月~ ノルバデックス、2010年4月~ アリミデックス 4年経過
  丸山ワクチン歴 2009年8月より1年3か月 AB隔日

子どものためにも、何が何でも生きる決意

私は2006年の10月に右の乳がんがわかりまして、腫瘍の大きさは1㎝ちょっとと小さかったんですけれども、リンパ節に転移が2つありました。当時、子どもが5歳になる3か月前ぐらいで、「もう私は人生終わりかな」と思ったのですが、手術をして、その後放射線と抗がん剤ACをやりました。ACは6回の予定だったんですが、白血球が元に戻らなくて4回で断念しました。抗がん剤のあと2007年の6月ぐらいからノルバデックスを飲んでいます。
私はHER2が強陽性、+3でしたから、ハーセプチン以外の薬は効かないだろうと考えていましたので、すぐにハーセプチンを投与したかったんですが、お金も相当高くて断念しました。2008年にハーセプチンが保険適用になりましたので、手術からは1年半とずいぶん日にちがたってしまったんですけれども、やらないよりはやったほうがいいかなと思い、すぐに先生にお願いして投与していただきました。2008年5月からちょうど1年間です。

いいと言われるものは何でもやって、マラソンも続けています

その後はノルバデックスだけを飲んでいて、「何だか不安だな、何かもっとないかな?」と思っていました。子どももやっと小学校に入り、まだあと10年ぐらいは物理的にも母親が必要、何が何でももう10年は生きなければと思っていたそのときに、「丸山ワクチンをやったらどう?」と上司に勧められ、「じゃあ、やってみよう」。2009年8月から、A、Bを交互に週3回投与で1年3か月になります。 ご覧のとおり元気で、今のところは転移もなく、ハーセプチンが効いたというのもあるのだろうと思いますし、丸山ワクチン、代替療法、アガリスク……、いろんなことを、いいと言われるものは何でもかんでもやりました。 それと私はマラソンが趣味で、ちょうど抗がん剤が終わったあと、2008年の2回目の東京マラソンに当選したので、「走ってやろう」という気持ちで走りました。4時間28分でした。 (一同「すごーい!」の声)
マラソンは病気になる前からずっと走っていましたので、止めたくないと思って。今も毎日走っています。

岩城医師

ありがとうございます。今は、落ち着いているという感じですね。じゃあ、次の方、よろしいですか?

抗がん剤のダメージの回復に、ワクチンを選びました

Dさん 2007年12月(51歳) 乳がん (Ⅱ期 リンパ節転移あり) 全摘手術
2008年2月より抗がん剤AC-T療法(アドリアシン+エンドキサン+制吐剤カイトリル*+デカドロン*→タキソテール+カイトリル+デカドロン)
2008年9月~2009年9月ハーセプチン+ラパチニブ*(治験)3年経過
丸山ワクチン歴 2009年12月より約1年 AB隔日

温存か全摘かで迷い、全摘して抗がん剤はフルセットで

Cさんの体験に酷似しているのですが、私の場合はちょうど1年遅れで、2007年の12月に手術しました。「もう絶対自分は死ぬんだ」と思って、セカンドオピニオンはとらなかったんですが、温存か全摘かの選択は私自身に委ねられ、温存の場合は必ず放射線とセットになるということなので、全摘を選択。結果的にはがんは広範囲に広がっていたので、全摘で正解でした。
告知から手術まで1か月ちょっと。自分の病気を受け入れるのが精いっぱいで、ネットなどによる勉強も決して十分ではありませんでした。とにかく急ぐことばかり考えていたような気がします。 リンパ節転移もあり、がんの顔つきも悪くて再発リスクがかなり高いということで、術後化学療法はAC-T療法をフルセットで12回やりました。 アルコールがだめなので、ムーンフェイスがひどかったのと、体が痛くて、トイレにも這って行くという感じでした。放射線は、全摘でしたので、やりませんでした。

ラパチニブ+ハーセプチンの治験も、さらに1年

HER2は+3で、既にハーセプチンは保険適用されていて、当然使う予定でしたが、ラパチニブがちょうど出たときだったので、1年間ラパチニブとハーセプチンのセットでの治験を受けました。 抗がん剤って、ご経験のある方はおわかりだと思うんですけど、1回目の投与からつらい思いをして、やっと元に戻ったと思った頃にまた2回目、この繰り返しが続くうちに復活力がだんだん衰えていって、最後のほうには、もう復活できなくなってくるのです。 抗がん剤が終わってもう2年ですが、このまま治らないんじゃなかというような手足のしびれや節々の痛みが今でも続いています。自分なりにビタミン剤や、AHCCを飲んだりもしています。

治験中我慢していたワクチンを開始

乳がんの仲間が丸山ワクチンをやっていましたし、アンサー20*の ことも知っていたし、とてもつらかったのでワクチンを使いたかったのですが、治験を受けている以上、ルールは守らなければと思い、我慢していました。2009年9月に治験終了、12月から丸山ワクチンをスタートしました。自宅から2、3分のかかりつけの内科で、「自分がやりたいと 思うことをやればいい」と気持ちよく引き受けてくださいました。
ワクチンを始めてもう少しで1年になります。A、B交互に1日 置きで週3回。最初は休診日や祝日にすごくこだわっていましたが、今はカレンダーどおり、休日は休みにしています。 幸い、定期検査では、今のところ落ち着いています。

抗がん剤で体はボロボロ、頑張って続けていた会社も辞めて

抗がん剤をやりながらも勤めを続けていたんですが、やっと治療が終わって、これで解放されると思ったときには、もう体がボロボロで、私の性格上、とてもこれ以上他人に迷惑をかけながら仕事を続けていけるような状態ではなくなり、抗がん剤治療が終了した翌月、やむなく会社を退職しました。
その後、抗がん剤のダメージから何とか早く回復して、元の体に戻したいという一心で丸山ワクチンを始めました。ずっと3,000以下だった白血球値もかなり上がってきて、ワクチンを打ってくださっている内科の先生も、「自分が信じて打っていて、よくなっていると思うならば、続ければ」と、好意的に見てくださっています。

高価でないから長く続けられる、ワクチン治療

正直言って、がんの治療はお金がかかりますよね。乳がんは特に10年たっても転移すると言われますが、高価な治療では長く続けられません。丸山ワクチンは1万円弱なので、長く続けていけるもののひとつとして、やらないよりはやったほうが絶対いいと思っています。

術後の癒着による腸閉塞なら、ほとんどが吸引療法で

Aさん

抗がん剤が終わって2年ですよね。今はもう、髪の毛がちゃんと長くなっていらっしゃるんですね。

Dさん

1年後から生えてきました。もともと量が多いんですけど、もうブワーッて生えてきて、チリチリなんですよ。

Aさん

私の病院仲間なんかは、抗がん剤が終わって1年以上たっているのに、なかなか髪の毛が……と悩んでいらっしゃる方もいて。 やはりそれも、人それぞれなんですね。

Dさん

そうかもしれないですね。真っ白になって出てきた方もいらっしゃいます。私もかなり白髪があって、ヘナで染めていますが、もうチリチリで、その縮れはなおりません。

なんと15年目に肺転移した私のノロマのがん

Eさん 1987年7月(46歳)  胃がんⅠ期 治癒切除  1989年5月(48歳) 右乳がん(Ⅳ期 リンパ節転移)全摘手術 術後抗がん剤  2004年2月(63歳) 乳がんの肺転移 胸腔鏡手術  2008年 肺がん再発 経過観察中  ホルモン療法  乳がん発症から21年経過  丸山ワクチン歴 1992年5月より18年半  AB隔日 乳がん患者会 『タンポポの会』

最初は胃がん、1年半後に乳がん発症、15年目に乳がんの肺転移

宇都宮から参りました。46歳のときに胃を5分の4切除、その1年半後に48歳で乳がんを全摘、リンパ節も切除して、その後抗がん剤の治療をしました。Ⅳ期でした。 そのとき3人の子どもが、短大生、浪人生、中学3年生で、Ⅳ期だと末の子が20歳までは生きられないと思いました。その子がお陰様で今は37歳になりました。
ただ、がんの怖いところですが、63歳のときに肺がんになりました。それが、はっきり乳がんと同じ顔をしていました。15年前の乳がんの肺転移で、それで、手術を受けました。
胃がんのときも「癒着していたら背中を斜めに開けます」と言われ、乳がんもⅣ期だったので全摘と大手術でした。転移した肺がんは5円玉ぐらいの大きさでしたが、今流行の穴を3つ開ける方法(胸腔鏡手術)で取ることができました。
「乳がんは10年」って言いますよね。それが15年目に出たので、先生も「ノロマのがんですね」と。でも、丸山ワクチンをやっていたからこのぐらいですんだのではと私は思うんです。で、いまだにワクチン、続けています。

黄金の左腕、体も気持ちも柔らかく、ワクチン歴は18年

丸山ワクチンとの出会いは、乳がんをやった3年後ぐらいです。宇都宮の済生会という慶応系の先生が多い病院で、主治医も慶応出の先生で「水と同じです。手術してもう3年たって元気なんだから、何も丸山ワクチンをやることはないよ」とおっしゃったんですが、私は「水でもいいからやりたい」と頑張ってサインしてもらい、今は自宅から10分ほどの内科の先生に注射をお願いしています。
私は点滴も血液検査もなんでもすべて左、だから「黄金の左腕」と言っているんですけれども、丸山ワクチンはもう18年ぐらいやっているから、普通だったら硬くなって打つ場所を変えたりするのでしょうが、でも不思議と私はいまだに平気なんですよ。看護師さんから「Eさんは気持ちも柔らかいから、腕も柔らかい」、私も「そうなんです」とか言っているんですけれども。
肺がんの手術の1週間後ぐらいにこちらに来て、「お元気でしたか?」っておっしゃってくださった岩城先生に、「実は肺がんの手術をいたしました。でも、丸山ワクチンをやっていたお陰で5円玉ぐらいで見つかりました」とお話ししたら、もう先生、本当に目が点になったという感じで……。ただ、また、手術した肺の裏手にボールペンの先ぐらいの点のような影が見つかって、もう2年ぐらいになります。大きくならず現状維持なので、今、4か月に1度、CTを撮っています。
46歳で最初のがん、来年で70歳なんです。CTなんかも結構高いので、「すみません、私ばっかり医療費高くて」なんて、夫にいつも頭を下げています。

アバウトなところが取り柄、患者会や緩和ケアのボランティアも

実は手術後から、宇都宮の患者会に関わっています。それから、緩和ケア病棟のボランティアをさせてもらっています。もう14年目になりました。「出好きのばあさん」だったので、ほかの病院でも相談のお手伝いを……。
ものすごくアバウトな人間なのがよかったかなというふうに思います。お陰様で、そんなところです。

岩城医師

アバウトでも何でも、生きていればいいと私は思います。Eさん、内容的にもすごいボランティアですね。会報なども作られて。Fさんも、同じようにボランティアやられているようですね。

病室ボランティアを受けた体験が導いてくれた患者会活動

Fさん 1987年12月(45歳) 右乳がん(Ⅰ期 リンパ節転移)全摘手術(非定型)
術後抗がん剤(フトラフール*)、ホルモン剤(ノルバデックス)継続投与 23年経過
丸山ワクチン歴 1988年2月より22年10か月 AB隔日 乳がん患者会会員

父の介護を終えた1年後に乳がん発症

母が胃がんで早くに亡くなり、私が3人姉妹の長女でしたので、お嫁に行く暇もなく、脳梗塞で伏せていた父の面倒をずっと見ていました。父も亡くなり、仕事を始めたんですけども、1年後に乳がんが見つかり、私が倒れたら姉妹のだれかがまた犠牲にならざるをえないので、ともかく無理しないようにと思って、今日に至っています。

病室ボランティアを初めて受けたのが私、という奇遇

今は、飯田先生が主治医なのですが、手術は23年前、友人の医師の勧めで、飯田先生の前々任者の向井先生にしていただきました。アメリカ帰りの向井先生はいろいろなことに斬新で、積極的に患者会を作っていらしたんです。「病室ボランティア」を始められたのもちょうど私が入院中のことで、私はその恩恵を受けた第1号。わからないこととや不安なことがあったときには患者会の方に聞いていただいたり、いろんなことを教えていただいたので、お陰様でそんなに悩まないで今日まで来られました。
当時は「温存か否か」というより「定型か非定型か」という時代で、私より少し前までは、米粒大のがんでも定型だと「洗濯板」のようになってしまったんです。私はリンパにもいくつか飛んでいたみたいですが、非定型手術でしたので、「洗濯板」は免れました。
乳がんにはホルモンによるがんとそうではないがんがあるそうで、大多数がホルモンによるがんらしいのですが、私もその例外じゃなくて、ホルモンを食べて大きくなるがんだったんですね。ですから、右の全摘手術後、ホルモン治療薬のノルバデックスを飲みました。

病室ボランティアを初めて受けたのが私、という奇遇

今は、飯田先生が主治医なのですが、手術は23年前、友人の医師の勧めで、飯田先生の前々任者の向井先生にしていただきました。アメリカ帰りの向井先生はいろいろなことに斬新で、積極的に患者会を作っていらしたんです。「病室ボランティア」を始められたのもちょうど私が入院中のことで、私はその恩恵を受けた第1号。わからないこととや不安なことがあったときには患者会の方に聞いていただいたり、いろんなことを教えていただいたので、お陰様でそんなに悩まないで今日まで来られました。
当時は「温存か否か」というより「定型か非定型か」という時代で、私より少し前までは、米粒大のがんでも定型だと「洗濯板」のようになってしまったんです。私はリンパにもいくつか飛んでいたみたいですが、非定型手術でしたので、「洗濯板」は免れました。
乳がんにはホルモンによるがんとそうではないがんがあるそうで、大多数がホルモンによるがんらしいのですが、私もその例外じゃなくて、ホルモンを食べて大きくなるがんだったんですね。ですから、右の全摘手術後、ホルモン治療薬のノルバデックスを飲みました。

丸山ワクチンだけで元気な人を身近に見て、効果を信じて開始

丸山ワクチンを始めたのは、向井先生を紹介してくださった方のお父さんが肺がんで、もう70歳過ぎで糖尿病もあり、手術できないため栄養剤投与と丸山ワクチンのみでしたが、5、6年たつのにお元気でした。それで「あなたも、ぜひおやりなさいよ」と勧められました。
噂で聞くのではなくて、すぐ目の前に元気でいらっしゃる方がいるというのは、説得力ありますよね。本当にお元気で、確か83歳かで天寿を全うされたんですよ。先生は「ワクチンは水みたいなものだ」、でも「もしやりたいんだったらどうぞ」って。

丸山ワクチンはできるだけ早目がよい、というのが患者会での実感

私、先ほどのお母様(Hさん)のお話を聞いていて、やはり、はじめにやったほうがいいと思いました。患者会を作っていますが、どうしても何人かの方は亡くなってしまうんです。ワクチンを使った方に感想を聞くと、「やっぱりやってよかった」と言いますが、病状が進んで、ほかの治療法がなくなって、最後になってから使われる方が多いのね。残念ながら……。 私の場合は、手術後数か月から始めたんです。近くによいお手本がいたということと、副作用がないのがよくって。 私も病院での治療はちゃんと受けながら、丸山ワクチンも週3回受けていました。何年か前からは2回になりましたけれど。それ以降は、お陰様で今のところ順調に来ております。

術後手が腫れたら要注意、リンパ浮腫の治療も開始の時期が大事

右の乳がんを手術したあと、急性のリンパ浮腫になりました。患者会で、経験された方から「リンパ節という関所がなくなり、黴菌を殺せるところがなくなっているので、すぐに抗生物質の点滴を打ってもらわないと大変なことになる」という知識を得ていましたので、すぐ対処できました。
1週間ぐらい放っておくと、固定して硬くなっちゃうんですよね。早く治療しても、元に戻るのに1か月ぐらいかかりました。今は何ともないんですけど。乳がんの手術をなさった方は、手が腫れたなと思ったら、要注意です。

常に治療についての新しい知識を知りたいという気持ちで

私の頃はもう23年も前なので、今とはだいぶ違いました。今は、センチネルリンパ節生検で、転移がリンパ節のどこにいくかで全部取るか取らなくていいかというのがわかるとか。私もまだ左がありますし、1年に1遍ぐらい検査しています。治療について新しいことを、いつも知っていたいという気持ちは持っています。

患者会は心強い味方、治療の情報交換や、悩みの相談にも

患者会で病気に関する体験や知識を教えてもらえたり、やはり同じ病気の人だからこそわかるようなことも、面倒がらずに聞いてくれたりしますよね。だれにでも話せることじゃないことも……。
私の所属する患者会も、私が入院する1か月ぐらい前にできまして、先ほどお話したように、私は「病室ボランティアを受けた第1号」だったんですよ。面倒見がよく、今もそのときお世話になった友達と一緒に、先ほどのEさんと同じように、1年に2回会報を出しています。飯田先生にも一昨年ぐらいからお忙しいのにお願いして、1年に1回講演をしていただいています。
去年、先生が講演してくださった「乳がんの診断と治療」を掲載した会報をお持ちしましたので……。

岩城医師

しっかりした会報をお作りになっているんですね。ありがとうございます。読ませていただきます。

保険外のセレブ治療で、家庭崩壊、免疫力低下の危機に

Gさん 2009年1月(52歳) 右乳がん(Ⅱb期 リンパ節転移) 非切除
2009年4~7月 活性化リンパ球療法
2009年5月 樹状細胞療法
2010年8月 ペプチド療法
2009年4~12月 ホルモン療法(フェマーラ)
2010年11月~ ホルモン療法(アリミデックス)1年11か月経過
丸山ワクチン歴 2009年2~12月、中断後2010年11月再開

「がん、がんじゃない」の診断に振り回され、ひどいことに

10年以上前に1㎝ぐらいのしこりが見つかり経過観察していたところ、2年後に「切ったほうがいい」ということで別の病院でそこだけ切除したら、「がんじゃない」と言われたんです。
ところが次の年、また同じところに同じ大きさのしこりができて、マンモグラフィーを毎年やって様子を見ていたんです。 そうしたら4年ほど前に、「これは、その昔切ったときの傷で、がんじゃない」と言われたので、安心して2年間検査に行かなかったんです。
2008年12月におかしいと思って大学病院で検査、翌2009年のお正月明けに「右の脇のリンパの乳がんで、ホルモン受容体陽性、浸潤性ですごくたちが悪い」と告知されました。当時は喘息がひどく、ガリガリにやせていて、痛みもちょっとあったので、友達から勧められて、2009年の2月から丸山ワクチンを始めました。ワクチンを取りに行く前日、たまたま入ったお店で、隣にいた人が、名前も知りませんが、かつて丸山先生を取材したというジャーナリストで、丸山先生の人格のすばらしさとか研究だとか、もう丸山教の信者のような方で、「僕はがんになったら、絶対ワクチンやりますよ」と、すごいPRをされました。

丸山ワクチンで喘息の発作から解放され、うれしい効果を実感

大学病院で3月から抗がん剤をスタートする予約をしていたのですが、2月17日からワクチンを打ったらすごく元気になってきて、まず食欲が3週間ぐらいでもりもり出てきて、顔色がピンク色になって、体重も増え、痛みもとれて、しかも、喘息の発作がなくなったのです。
これはうれしいと思って、たまたまお姑さんが引っ越してきたこともあり、大学病院の先生に「抗がん剤の開始を2か月延ばしてほしい」と頼んだら、「5月には肺と肝臓に転移するに違いないから、4月の半ばには絶対病院に戻りなさい」と言われ、そのとおりにしました。

丸山ワクチンを続けたいと話したら、診療拒否されて

私は丸山ワクチンに出会えてよかったと本気でそう思っていて、免疫療法の信奉者になっちゃったんですね。それで、病院でその話をしたら、「うちは大学病院だから、丸山ワクチンをやっている人は診られません」と言われ、追い出されてしまったんです。
主治医は、私の状態があまりにも悪いことを心配して家に電話をかけてきて、「上司にかけあうから、全身がんになって救急車で運ばれてくるようなことになる前に、とにかく丸山ワクチンを止めて病院に戻ってきてください」って言ったんです。だけど、あのきつい喘息が丸山ワクチンで治ったので、嫌だと断りました。

最先端の免疫治療をしているうちに、炎症性の乳がんを発症

丸山ワクチンの効果を実感したので、免疫療法はすごいと思って、最先端のワクチン療法に走ったんです。 まず自分のがんの遺伝子からがんの型を調べ、それを抗原として、自分専用のオリジナルのがんワクチンを作り、冷凍。それを接種。2クールやったんです。
遺伝子検査というのは、PET検査よりももっと正確で、ミクロの血液でわかるんですね。ちょうど去年の6月頃には、脇もひどいし、全身、もうかなりあちこちに飛んでいて、ものすごい状態だったんです。肺が点々模様になったので、「丸山ワクチンは結核菌から作るからそうなるのですか?」と質問したら、「30年ワクチンの仕事をしていて、絶対副作用はないと言えるし、そんな話は聞いたことがない」と言われました。
多分、がんだったんでしょう。とても元気だったんですけど、「あと1年は難しい」と言われ、5月から、脇のがんをえぐり、それをすりつぶしてワクチンの種を作って、それをまた自分の体に入れる治療を始めました。
ところが、今年(2010年)の3月ぐらいに、がんの患部に不気味な三日月みたいな柄が出てきて、それが不気味な満月になり、今度は表に出てきて、今はこんなになっちゃって……。 (と言って、突然胸を見せる。一同びっくり、声にならない)
ひどくてひどくて。これが1週間に1㎝とか2㎝ぐらいずつ広がっていくんです。

岩城医師

そのワクチンは樹状細胞ワクチンですね。

Gさん

樹状細胞です。それを自家がんで作りました。ワクチンを作るのに、大体3週間。その3週間の間に、えぐったところが炎症を起こして、炎症性のがんができちゃったのね。 ワクチンを作ったときにあった、全身に飛んでいたがんは消えたんですが、この炎症性のがんは、ワクチンを作ったあとにできたものなので、効かないんです。それで、もう加速度を上げてこんなになって……。
とうとうその最先端医療の病院でも、「もう抗がん剤をやってほしい」と言われて。もう末期過ぎて、どこの病院でも受け入れてくれず、やっと都内の病院に入れてもらえて、今日、抗がん剤治療をお願いしに行ってきたんです。

高額な治療費で離婚の危機に、よい先生方との出会いもあって

Gさん

この2年にお医者さんだけで7人、治療は全部保険外で、生活費も入れて全部で2,000万ぐらいかかっちゃったんです。借金がかさんで夫との関係も悪くなり、先週の日曜日に急に離婚の話も出て、そうなると生活保護を受けて、普通の保険治療をするしかないし、ひとりぼっちで、どうしていいか……。
岩城先生も「とにかく、丸山ワクチンと抗がん剤、これは本当にお勧めするわ」って真心こめて説得してくださったので、もしかしたら抗がん剤も効くかなって。「生活保護を受けなければならなくなったので、高級なこの病院には来られません」って、細胞療法の先生に言ったら、「抗がん剤を受けるなら、研究患者ということで、樹状細胞ワクチンを僕が作ってあげる」と言ってくれたし、一昨日行った別のクリニックでも、「僕を教祖として信じてくれれば治してあげる」と言われたんです。
すごくぐらついたんですけど、でもやっぱり、遅かれ早かれ人間は死ぬわけだから、岩城先生をはじめ、いい先生方と出会えたこともあり、ここまで自分で納得いくだけ闘ってきたので、今までのセレブ生活を捨てて、またゼロから生まれ変わるつもりで、ここからどうやって生きていくかを考えていかなきゃ、っていう感じなんですよ。

岩城医師

Gさんには、去年の2月、最初の頃に1回しかお会いしていないのですが、そのときには、大学病院は断ったとおっしゃったから、喘息に効くんだったら、喘息の治療として丸山ワクチンを使われたっていいのではないかと思ったんですけど……。

Gさん

ステロイドより、ワクチンのほうがいいですものね。

岩城医師

あの方どうなさったかなと思って、Gさんのカルテを見せていただいたら、丸山ワクチンはいったん去年の暮れで終わっているんですね。カルテの内容が厳しかったので、実は、お電話してももういらっしゃらないんじゃないかという覚悟は決めながら、ご連絡したんです。でも、お元気ですよね。

Gさん

そうなんです、もう本当にどこも悪いところないみたいに見えますよね。ただ、脇の腫瘍がひどくて……。

岩城医師

樹状細胞療法はお金がかかりますし、やっぱり副作用があったりして、途中でやめられる方が結構あります。
私は、これでなきゃいけないということは申し上げていません。取捨選択はご自分でなさっていただきたいと。 やっぱり効くかもしれないと思ってやるのと、効かないと思いながらやるのとでは、違うんじゃないかと思うのです。

がんはメンタルな影響が大きい病気なんですね

Gさん

私は、精神的なもので絶対に治ると思っているんですけど……。アリミデックスを2日から飲み始めてまだ2週間ですが、すごく効いてきて、がんを1日に3回ぐらい見ては、小さくなっているのを確認して喜んでいたんです。
ところが、主人に借金や離婚のこととかいろいろ言われて、あまりにもショックで、それからたった3、4時間の間に、見る見る2cmも大きくなっちゃったんですよ。 本当にがんってメンタルな病気なんですね。
だから、今回は逆バージョンを自分で証明しちゃったみたいですが、私は絶対に一瞬にして何かの形で治ると思っています。

飯田医師への質問

岩城医師

では、この辺で、何か飯田先生にお聞きしたいことはございませんか?

ホルモン剤は使う順番があるのですか?

Bさん

アリミデックスが効かなくなったら、次のホルモン剤をと言われています。多分アロマシンかフェマーラだと思っているんですけれども、どうなのでしょう?

飯田医師

閉経されているのですね。アリミデックスとフェマーラとは、ひとつの似たようなグループになりますね。アロマシンは作用がちょっと違う。

Bさん

ステロイドと非ステロイドということですか?

飯田医師

そうです。薬の構造がステロイドに似ているかどうかという意味ですね。アリミデックスとかフェマーラは薬の構造、化学式がステロイドに似ていない。アロマシンは、ステロイドと似た構造ですが、ステロイドそのものではないですね。
アリミデックスから変える場合は、アロマシンに変えることが多いです。みんながみんな効くわけじゃないですけども、アリミデックスの効きが悪くなってきたときに、アロマシンに変えるとまた効く場合もありますので。

Bさん

医者からは「軽い薬から使って、だんだんちょっとつらい治療になっていくでしょう。がんが治ることはないですから、今を一生懸命生きてくださいね」と、最初に転移したときに言われましたので、ある程度覚悟しているんですけど。

飯田医師

その先生のお話は、「治ることはないというわけじゃないけれども、完全に1個残らず消えてしまうという方は、ゼロではないですが少ない」という意味だと思うのです。
ただ、命さえとられなければ、「がんをそれ以上悪くしないように押さえ込んでおく、眠らせておく」というようなイメージで。がんがあっても悪さをしなければ、ずっとそのままでいられますので。

Bさん

休眠という形以外ないんですか? 実は、私、抗がん剤をしたことないんですよ、一度も。だから、皆さんから、抗がん剤の副作用のことを聞いて、今後のことを考えるとつらいなという気持ちはあるんですけれどもね。

ホルモン剤を数種類使ったあとに抗がん剤、というやり方もある

飯田医師

やはりホルモン剤は副作用も少ないし、効いている期間も長いことが多いので、ホルモン剤を使うほうがいいだろうということは、ガイドラインにも載っています。
西洋医学的には、世界的に受け入れられている治療法ですね。いろんなホルモン剤を3、4種類ぐらいやって効かなければ、次は抗がん剤というのはよく行われますね。

Bさん

やはりそうなんですか。主治医も非常に忙しそうなので、今のところ落ち着いているので、本当に1、2分で診療が終わってしまうような状況ですから、よほどじゃないと時間をかけてお話を聞けないのです。

岩城医師

私も長いこと生きていますので、今までホルモン剤も何も効かなかったという種類のがんに対しても、時間と共に薬がいろいろ出てきているようですから、「おっ、出てきた!」っていう感じなんですね。先を明るく考えていただいて。

Bさん

そうです。先に明るい見通しがないというのは、ちょっと生きる希望がなくなってしまうので……。

乳がんは新薬の開発が早く、薬が比較的よく効く場合も多い

飯田医師

ほかのがんに比べると、乳がんは新しい薬が結構開発されて、それが比較的よく効くので、発売までいく薬が多いんです。乳がんに関しては、そういうのはいい点ですね。

岩城医師

同じステージでほかのがんと比較しますと、乳がんは大体2、3倍は長生きできるという感じですね。ですから、苦しい状態を引き延ばすのはよくないんですけど、ある程度のQOLが保てて、ちょっと寿命を延ばしておいていただくと、乳がんには次があるんじゃないかというふうに私は思っていますね。

飯田医師

そうですね。僕もそう思います。

ホルモン剤を使い切ったときの次の手は?

Aさん

私は、2005年の手術後、1年半でリンパ節転移して、2回リンパ節を切除、放射線を2回、今年の初めに骨転移という状態です。
今まで抗がん剤を使わず、ホルモン剤はある意味使い切ってしまっているんです。フェアストンの3倍投与を始めたのですが、腫瘍マーカーが上昇、ホルモン剤だけで抑えきれていない状態なので、次の手を考えなきゃいけない。
先生だったら何をお使いになりますか?一応、今年の3月から半年ぐらいTS-1は試したんですけど。

飯田医師

ホルモン剤は何と何を使われたんですか?

Aさん

まずノルバデックス、フェマーラ、それからアロマシン、アリミデックス、全部使ってしまいました。残っているのはヒスロンH*だけですね。
生理は、乳がんになったときに止まってしまいましたが、私は、エストロゲンが+6、プロゲステロンが+5と、すごく強いタイプで、HER2は陰性です。だから、ホルモンがとても強いがんだということは確かなんです。

飯田医師

卵巣のホルモンの状況は採血して調べたらわかりますね。

Aさん

はい。検査して、フェマーラを始めました。

飯田医師

なるほど。注射のゾラデックス*とかリュープリンとかは、閉経後はあまり意味がないですから。フェアストンはいいとは思いますけれども。ほかの臓器に何か転移が見つかったということはないですか?

Aさん

骨とリンパに転移が見つかっています。あとゾメタをやったあと、腎臓が悪くなってきて、尿管が狭窄して、緊急にステントを入れる手術をしたんです。腎臓の数値は、今は完全に正常に戻りましたが、もしかすると後腹膜にいっているかもしれないと言われて、今週金曜日にPETをやります。
肺は今のところ大丈夫とは言われていますが、腰が痛くて動けず、咳が出ます。ただ、ゾメタは、骨のために必要と、先週薄めて4時間かけて注射しましたが、翌日、もうパンパンに浮腫んでしまって。 フェアストンは、とりあえずPET検査までの間のつなぎということで、もう飲み始めて10日ぐらいです。

飯田医師

なるほど。肺とか肝臓とかに転移があまりなければ、ある一定期間フェアストンでもいいかもしれません。それで、今の状態がさらに悪くなったり、また新しいところに出てきてしまったら、もうホルモン剤はほとんど使い切っていますから、ヒスロンをやるという手もありますけども、効きが悪い可能性もありますので、そうしたらやっぱり抗がん剤かな。
腎機能がよくなれば、アンスラサイクリン系*のACとかFEC(5-FU*+ファルモルビシン*+エンドキサン)とかよく使われます。あとはタキサン系*ですかね。ガイドラインにも記載されています。

脱毛する抗がん剤治療はしたくないので、その場合は?

Aさん

髪の毛が抜ける治療はしたくないというのが最初からの信念で、それで助かると言われても、私はやりません。その場合は?

飯田医師

そうすると、ジェムザール*とかナベルビン*かな。ジェムザールは今年から乳がんに保険が効くようになったんですけど、ナベルビンより少し効きがいいような印象はあります。
副作用は、やっぱりどちらも白血球とか血小板とかが下がりますね。ジェムザールは、ほかの副作用はあまりない人が多いのですが、今年出たばかりなので、まだそんなに長期に使っている方はいないんですけれども。

岩城医師

ジェムザールだったら、相当長くほかのがんでは使われていますものね。

飯田医師

そうです。膵臓には前から使われています。乳がんで使う量は膵臓で使う量より少し多いんですけど、白血球が下がったら、また1週間休薬期間を延ばしたりすると、戻ってきますので。
髪の毛が抜けるのがどうしても嫌というなら、そこから始めてもいいかなと思うんですけどね。

Aさん

TS-1はちょっと試して効かなかったので、ゼローダ*とかフルツロン*とかは似たものだから、もう効かないかもしれないということになると、もう私……。

飯田医師

TS-1が効かなくなってゼローダに変える、あるいは逆のパターンでも、効く方はいらっしゃいますので、全くだめということではないです。
すごく似ているんですけどね、何か理由はわかりませんけど、効くこともありますね。

岩城医師

TS-1もゼローダも日本の薬ですが、ゼローダはアメリカで先に承認されたんですね。胃腸障害が多いので、別の薬と併用して、グーッと小さくなったという方もいらっしゃいます。人によりますよね。

効果も副作用も人によって千差万別、順番でも違いが出る?

Aさん

同じ薬でも人によって全然副作用も違いますよね。私の病院友達は、TS-1を4年もやっていて平気なんですよ。私なんか半年でダウン。本当にそれぞれ違うなって思います。

飯田医師

僕は、ジェムザールのほうがちょっと効きがいいような印象があるので、まずはそちらをやることが多いかもしれませんけど。それも、患者さんによって効きは違いますし、副作用だけじゃなくて効果もやっぱり違いますのでね。

Aさん

薬って、あとになればなるほど効かなくなってくるんですよね?とっておきのジェムザールを早く使ったほうがいいですかね、順番からいうと。

飯田医師

そうですね。まあ、確かに同じ薬でも1回目に使った場合と何回目かに使った場合、やはりなかなか効きにくくなってくることがあるかもしれませんね。 ただ、ジェムザールは最初から使うというデータがあまりない。アンスラサイクリン系とかタキサン系を使ったあとに使うというデータのほうが多いと思います。

岩﨑医師

Aさんは、タキサン系は嫌なんですよね。だけど、ものは考えようですよ。使わなくなれば必ず髪は生えてきますから。

Aさん

ただ、再発がんは、次つぎと違う抗がん剤を使って、治療がエンドレスじゃないですか。私の友達も皆、なかなか難しいんですよね。
先生は大体まず最初にタキサン系を勧めるんですけれど、私はどうしてもQOLを下げたくないという考えなので、それはちょっと……、という感じなんです。

薬の量も投与期間も、ひとり一人さじ加減を変えることも

岩城医師

長く続けなければいけないと思わないでやってみる、というのはどうでしょうね?期間を区切って、薬の分量も控え目に。髪が抜けてしまうようだったら止めるとかね。

Cさん

1回で抜けますよ。1回で全部スッパリなくなります。

Aさん

ええっ、最初の投与で?

飯田医師

2週間目ぐらいに抜け始めますね。

Cさん

一発でバッサリ。もう泣くも何も……。私の場合は1週間目から。
お嫁さんが文金高島田の鬘をつけますよね。あれを取った感じで、「あれ?」って思ったら、髪の毛が立っちゃって、それで、戻そうとすると、それがそのままごそっと抜ける、という感じで。

Aさん

だから、多分その精神的ショックのほうが大きそうなので……。

Cさん

でも、大丈夫です、全然。生えてきます。

Aさん

でも、やっぱり初期とは違うんですよ、再発の場合は。抗がん剤が効いていれば、きっとなかなか止められないと思うんですよね。

岩城医師

分量をぐっと減らしても、効く方には効くということがあるんですね。昔、良医とか名医と言われたのは、薬のさじ加減が上手だったからなんですね。
今は標準体重や体表面積で一律に量を決めて、それ以外では効かないと言ったりしていますけど、そんなことはありません。
卵巣がんの方ですが、イリノテカンと、腎臓に悪いといけないからというので、ネダプラチンというプラチナ製剤を10分の1の量に減らして、実際に効いているというケースがあります。

Aさん

そういう治療をやってくださるという銀座のクリニックも調べて一度行ったんですけれども、そこにかかる場合にはそこの先生を主治医にしなければいけない。でも、検査機能や入院設備がないところなので「受け皿は残しておいて」と言われました。
私の主治医は、リベラルな考えの方で、いろいろなことを受け入れてくださるんですが、さすがにクリニックがメインとなると……、すごく難しいんです。
私は低量の休眠療法っていうのをやりたかったんですが、今の主治医はある程度それも理解してくれますが、さじ加減はそれほどやってないですから。

岩城医師

そうですね。先ほどお話した方も、ご自分の考えを受け入れてくれる先生を探さなければいけなかったのですよ。 抗がん剤の量を変えてほしいという話をきちっと先生にお話ししてくださいと、患者さんに申し上げました。
横浜市立大学病院にかかっていらして、はじめは「だめ」と断られたんです。でもあまり熱心に言うから、「それなら3分の1減らして、3分の2にしましょう」ということになりました。
副作用もなく抗がん剤を使えるんですね。で、その後数値も下がってきたので、先生もちょっと見直してくれました。私が「本当は、半分ぐらいでいいんですけど」と言ったら、「いや、主治医にそこまでは言えません」と。

Aさん

なるほど。結局、上の人が変わると、患者さんの求めに応じて「ちょっとやってみようか」という先生も出てくるんですよね。 だから、ひるまないというか、言うだけは言ってみるというのもひとつの方法かなって思います。
保険が全く効かない、セレブが行くような病院だったら、頼めば何でもやってくれるし、そういう病院はいくらでもありますね。でも、私は、保険が効かない治療はしないつもりで、銀座のクリニックも、完全に保険診療なんですよね。それこそ、高橋豊先生とかと一緒にやっているような先生だから。
ただ、受け入れ先の病院が遠いところにしかないというので。私としては低量療法というか休眠療法は、まさにこれだと思って飛びついたんですが、なかなかそうはうまくいかないんです。

あまり高額な負担のかかる治療は……

岩城医師

「金の切れ目が……」みたいな方がいらっしゃいましたが、保険の効かない治療でお金を使う、ということについては少し考えたほうがいいですね。
丸山ワクチンは、1万円で大体1か月もつわけで、ほかの抗がん剤はもっと高額ですから、これはリーズナブルです。ほかにご質問は?

Cさん

失礼ですけど、Gさん、痛みは?

これからどんな治療を受けたらいいのでしょうか?

Gさん

半端じゃなく、あります。患部からの出血がひどくて、この間も救急車で千葉市から東京まで高速で行ってもらったんです。押さえてもワーッと出てきちゃって。それはもう半端じゃないですね。
今度抗がん剤を打つと、もっと出血しやすくなるということだし、ひとりぼっちなので、病院の近くに引っ越ししようかなと思って。突然、状況が急展開してしまって「人生おもしろいな」と……。
私、去年の11月から、事情があって丸山ワクチンを打ちたくても打てなくて中断していたんですが、この間、また喘息の検査をしたら、「今、発作が起きたらもう酸素ボンベなしに生きていられない」というほど悪化していたんです。
やっぱり52歳だけあって、見た目は元気でヒョコヒョコしているけど、しゃべるのも苦しいから大きな声で早口になって、それがよけい元気そうに見えちゃうんだけど、とても苦しかったんです。それが丸山ワクチンを先月の27日から再開したら、今、全然苦しくなくなって……。
がんのほうは、岩城先生から先月電話をいただいたとき、9.5cmだったのが、今15cmになっちゃんたんです。

岩城医師

大変きびしい状況ですが、対策はどうしたらよろしいでしょうか?

飯田医師

Gさんは、これまで受けてこられた免疫療法では難しい状況で、今後は、抗がん剤治療を考えているということですが。
今までのデータから言えば、まずは一番可能性の高いタキサン系とかアンスラサイクリン系でしょう。タキソールとか、普通のスタンダードな抗がん剤だと思います。

腫瘍が大きいので形成外科のある病院での手術がいい?

Gさん

手術のことなんですけど、こんなに腫瘍が大きいので、抗がん剤でいくら小さくなったとしても、皮膚がくっつかないんじゃないかと思うんです。
今度の病院は形成外科がないので、手術になったら、形成もある病院で手術したいと思っているんです。日医大には形成外科、あるんですか?

飯田医師

あります。植皮手術が必要な場合は、保険が効きます。

岩城医師

リンパ節にGさんと同じぐらい大きな10㎝の病巣をもっていらっしゃる方が、丸山ワクチン単独なんです。何か併用してくださいとお願いしているんですけどね、お聞き入れにならないで、自然にとお考えのようです。
丸山ワクチンの主たる役割というのは、病理的に言いますと、いわゆるコラーゲンが、がんをとり囲んで少しずつ狭めていくということで、がんがあまり大きくなってしまっていると、これは簡単にいかないわけですよね。だから、病巣が非常に大きいときは、抗がん剤で小さくして手術、というのが一般的ですね。
今朝、その方にお電話したんですね。そうしましたら、Gさん、あなたに教えてあげてくださいとおっしゃって。出血の部位に当てるものがあるらしいですね。2つほど、名前をおっしゃったんですけど……。

皮膚に浸潤している病巣に貼る薬は?

Gさん

それ、何でしたか?私は、紙おむつに尿取りパットに、あと生理用ナプキンを2枚。

飯田医師

モーズという人が考えた、モーズ軟膏というのはあります。

Gさん

今日買ってきたこれ、病院で2日かかって作るそうで、保険外で2万6千円もするんですよ。

飯田医師

(Gさんの薬の袋を見て) これは、嫌気性菌という、空気がないところによく繁殖する黴菌をやっつける薬で、メトロニダゾールというのがあるのですが、嫌気性菌という黴菌が発生すると、ちょっと臭いが出たりするので、そういうのも抑えてくれるような成分が入っています。それはそれでよろしいと思います。

Gさん

そうなんです。臭いも半端じゃなくあるんです。

飯田医師

そうですね。それから、患部の組織を少し腐食させたりして、物理化学的に小さくしたりするものもある。ただ、それは正常な皮膚につくとひどい炎症が起きてしまい、すごく痛むので。

Gさん

それ、私ね、使いました。ほかの病院で1週間に1遍、黄色く膿が出たところをはさみでちょん切って捨ててもらったんですよ。そのときにそれを塗りなさいと。
あまりの痛さに止めて、それで今度の病院で、この薬を処方されたんです。

岩城医師

先ほどお話したのは、アルゴダームとカルトスタット。海草由来のおぼろ昆布状のもので、表面の血液が出てくるところに貼るんです。

飯田医師

褥瘡に使ったりするものかもしれませんね。褥瘡の貼り薬は10種類ぐらいあって、出血のあるなしとか、黴菌がいるいないとかで使い分けたりしているみたいですけど。でも腫瘍ですから、褥瘡とは少し違うので、ちょっと難しいところではあります。

ワクチンが喘息に効くとは!ワクチンに風邪予防効果?

Eさん

丸山ワクチンで喘息がよくなるというのはすごいなと思いました。私、実は風邪をひいたことがないんですよ。
18年間ワクチンをやっていて、家族みんながインフルエンザになっても、私だけかからない。夫なんか、犬でも豚でも風邪をひくのに、とあきれているんですけど、丸山ワクチンのお陰だと思うんです。

Cさん

その前(ワクチンを打つ前)には、ひいたことがあるんですか?

Eさん

あまりひかない人でした。アバウトですからね。(笑い)

Cさん

でも、そう言われてみたら、私も去年から今年にかけて一回も風邪をひいていませんね。一応インフルエンザの予防接種はしてますが。喉が痛いと思っても、風邪までいかないようです。

免疫学の立場から丸山ワクチン効果を研究中

岩城医師

飯田先生も、丸山ワクチンについては、あまりお詳しくはないと思いますので、私からお答えします。
ここの大学病院でも、ワクチンをやっていただけるのは飯田先生がいらっしゃる第一外科と、第一内科ですが、残念ながらどの科でもやっていただけるわけではありません。
現状は、ワクチンを始められるときにはかなり進んでいる方が大半で、2回目を取りに来る方は全体の3分の2ぐらいですね。3分の1は、1回で終わり。使わないうちに亡くなられたという方もいらっしゃいますから、もったいないと私は思います。
ここの大学に、来年は日本のエイズ学会の会長をなさる高橋先生という方がいらっしゃるのですが、今、新しい免疫学の立場で丸山ワクチンを研究してくださっています。高橋先生はご親族の方にもワクチンをお使いになって、効いたと感じられたようです。
ですから、いずれ、また見直しがあるだろうと思うんですけど、残念ながら、今はまだこの病院でもそういう状況なんです。

丸山ワクチン単独は不安だが、副作用軽減などの補助的効果を期待

飯田医師

丸山ワクチンだけで治るかどうか、というデータはあまりないので、ほかの治療は何もしないで丸山ワクチンだけでやるというのはちょっと不安ですね。 ただ、副作用を抑える効果があるというので使うこともありますし、抗がん剤とかホルモン剤だけで心配な場合に、補助的に、患者さんのご希望があれば使ってみて、それで結果的によかったということは確かにありますね。
ただ、どういう人が結果的によくて、どういう人があまり効かなかったかとか、そこら辺は、私にもまだよくわかってなくて。 データの数が、まだやっぱり不足しているんですかね。もうちょっと世界中のお医者さんに対して説得力があるようなデータを集めていかなければいけないんでしょうけれども、そういうことができていないのが現状なので、ちょっとまだ、今ひとつ信頼が置けないというお医者さんが多いと思うんですね。

岩城医師

そうです。そのことはもう骨身にしみていましてね、何とかできないかと思っていますけど、やっぱり日医大が大学として応援してくれるとありがたいですが。

治療法は患者自身が選ぶもの、生きたいという気力が大事では?

Cさん

どんな医療を受けるかは、患者側が決めることだと思うんです。
先ほどのAさん、抗がん剤は嫌と言ってらっしゃいましたが、私なんかはもう、髪の毛が抜けようが、どこがなくなろうが、とにかく命が大事だと思いましたけど。 やはり、それぞれいろんな考え方がありますので。
丸山ワクチンを選択する、効かないと言われているアガリスクだかなんだかを飲む……。効くと思えば効くし。選択は自分でできるわけですから、丸山ワクチンを打ちたくなければ打たなくてもいいですし、打ちたいのに主治医がやってくれないという場合は問題があると思いますけど。
だから、選択するとき、先生方から言われたからというのではなく、自分がやりたいと思えばやればいいわけだし、やりたくないと思ったら、別にやらなくてもいいんじゃないかと。
今現在こうやって生きているのは、恐らくハーセプチンの威力だろうと私は思っています。

Hさん

ハーセプチンというのはホルモン剤ですか?

飯田医師

分子標的剤といって、HER2が強陽性だと使える薬です。副作用が少ない抗がん剤みたいなもんですかね。乳がんの方、5人に1人ぐらいですね、効く方は。

Cさん

でも、それができる前は、本当にもしかして私たちはあっという間に死んでいましたよね。まあ、私の場合、それが恐らく効いているんだろうと思うんですけど。
アガリスクも飲みましたが、はっきり言ってこんなもの、何の効果もないと思っていました。でも、丸山ワクチンを勧めてくださった私の上司とか、アガリスクを飲みなさいよと言ってくれた義理の母ですとか、いろんな人の、「生きていけよ」という気持ちが絶対こもっていたと思うんですね。だから、それをありがたく受けとめて。今生きていることが一番大事なことで、みんなの思いも含めて今があるのかなと。
だから、お母様の気持ちを一生懸命、お嬢さんに伝えてみられたらどうでしょうか?

Hさん

はい。今日の皆さんのお話を娘に伝えようと思っています。

Cさん

それでもやはり嫌だわとおっしゃったら、ご自分が決められることなので、それ以上強要しても……。
私もやっと、子どもが来年4年生になります。「小学校に入るまで生きていられるのだろうか?」と思ったのに、この頃は「そんなに簡単には死なないんだな」「この幸せがいつまでも続けばいいな」と思っています。
Hさんのお嬢さんもまだお子さんが小さいから、一日でも長く生きないと。お母様も「私は今預かっているだけ、子どもたちは、あなたが育てるのよ」と言わないと。お母様がいるから大丈夫なんて思ってしまったらいけないし、生きていく気力がわかないようでは絶対だめだと思います。
私は、母が56歳で亡くなったので、自分ひとりで子どもの面倒を見て、抗がん剤をやりながら仕事にも行き、そして今があるわけなんです。やれば何とかなると思うし。
だから、抗がん剤でつらいのはわかるけど、少し甘え過ぎ、という感じもしなくはないですね、私からしてみたら……。言い過ぎたかもしれませんが。

岩城医師

飯田先生にほかに何かお聞きしたいことがあれば……

歯のインプラント治療をしても構わないでしょうか?

Cさん

こんなことを伺っていいのかどうなのかわからないんですけど、実は、歯医者でインプラント治療を勧められているんですが、そういう治療をしても構わないんでしょうか?
主治医もよくわからないらしく、私もどうしようかなとずっと迷っていまして……。

飯田医師

骨への転移でゾメタとかを使っている方は、あごの骨が溶けたりする副作用がたまに出ますので、インプラントをやる場合はゾメタを休んだほうがいいです。

Cさん

今現在、アリミデックスを飲んでいるだけなんですけど、その場合だったらやっても構わないんでしょうか?

飯田医師

構わないと思いますよ。ただ、インプラントがいいのか悪いのか、ちょっと専門じゃないので……。
もう少し歯科の先生によく聞いていただいたほうがいいと思います。別にやること自体は問題ないと思います。

Cさん

私もインターネットで調べて、大丈夫かなとは思っているんですけど。例えば、それが再発の引き金になるとかはありませんか?

岩城医師

まだご質問なさりたい方がいらっしゃるかもしれませんが、飯田先生のお時間もありますし、そろそろ寒くなって参りますので、この辺でお開きにさせていただきたいと思います。
今日は本当にありがとうございました。(終)

追記:Gさんは、2011年4月、日本医科大学付属病院第一外科乳腺科において、飯田医師の執刀による乳がんの摘出手術と植皮手術を受けられました。

乳がんの診断と治療

日本医科大学付属病院第一外科乳腺科 飯田 信也

診断から治療までの流れ

問診
視触診+マンモグラフィー
超音波検査

穿刺吸引細胞診はしこりに直接細い針を刺して、注射器で液体や細胞を吸い出し、顕微鏡で観察する。痛みは採血時と同程度の事が多い。

針生検(組織診)

細胞診で診断が確定しないときに行われる。 最初から針生検を行う場合もある。 針生検は細胞診よりやや太めの針を刺し、細胞だけでなく、繊維質等も取り出すので、細胞診より詳しい情報が得られる。
超音波で確認しながら採取する事もある。病理医が顕微鏡で確定診断する。

早期発見の利点

日本の乳がんの発現状況(日本乳癌学会2004年データ)
  • 自己発見        73.8%
  • その他         4.8%
  • 検診(自覚症状あり)  5.7%
  • 不明          1.0%
  • ☆検診(自覚症状なし) 14.7%(☆印の増加が死亡率減少に?がる。)
40歳以上のマンモグラフィー受診率

米国 70~80% VS 日本 12.9%(H18年)

日本は先進国で唯一、乳がんの死亡率が上昇している。マンモグラフィーの受診率が低い事が原因と思われる。政府も中間目標として50%受診を目指しているが、この1~2年進歩なし。
早期発見は早期治療に繋がり、乳房温存の適応、抗がん剤不要のケースが増えてQOLを上げるうえ、治癒率を向上させて死亡率を減少できる。乳がんにならない方法が確立されていない現在、早期発見、早期治療はとても重要である。

乳がんの治療

標準治療とは…

その時点で、最も優れていて、信頼がおけ、患者に優しい、一番効果があると認められている治療の事。
乳がんには四大治療法「手術」「放射線」「化学療法」「内分泌療法」がある。最近は[分子標的治療]も行われる。

手術について

胸筋温存乳房切除術

乳房を全摘する手術法。1980年頃までは筋肉も全て取ってしまって皮膚の下は洗濯板のように肋骨が浮いて見える手術が半分以上だったが、今は全摘といっても筋肉は残す。術後、乳房再建の選択ができるが、放射線照射をした場合は乳房再建が難しくなる。

乳房温存術

がん及び周辺だけを取る部分切除の事。3㎝以上のがんの場合は難しい。
手術中にセンチネルリンパ節生検(がん細胞がリンパに乗って移動するとき最初に到達するリンパ節を取り出し、組織検査する事)で転移が認められた場合は、腋窩リンパ節を郭清する。認められなければ残す。
局所再発予防のため、術後乳房に放射線照射を併用する。照射により、局所再発のリスクは全摘の場合と同程度に下がる。温存術の増加は、早期発見が増えたという事である。
また、乳房再建術は、インプラント(シリコン等)が保険適用になれば、もっと普及してくると思われる。

内視鏡手術

脇の下や乳房に小さな傷を開けて、内視鏡カメラで覗きながらがんを切除する方法。大きなしこりには適さない。乳がんでは、まだあまり普及していない。

放射線治療について

乳がんは放射線照射によく反応するがんである。
・乳房温存術を受けた場合に必要。
・切除が困難な部位、例えば骨や脳の転移に有効。
・骨転移で痛みがある場合、放射線照射で痛みが軽減する。

化学療法について

乳がんは抗がん剤にもよく反応する。きつい副作用(脱毛、白血球減少、口内炎、嘔吐、四肢のしびれなど。一過性で、やめれば元に戻る)があっても有効性があり、必要なケースでは受ける意義はあると考える。

内分泌療法について

乳がんの3分の2はホルモン剤によく反応する。術後再発予防や転移の治療に使用される。術後の場合は5年ほど服用するので、抗がん剤ほどではないが副作用(更年期様症状のほてり、筋肉痛、関節痛、指のこわばり等、まれに血栓症、子宮体がん)を伴う事もある。

患者さんが迷う事

ガイドラインにも取り上げられているが、現在の乳がん診療における問題点をいくつかあげたい。

乳がんと言われた時、どうしたらよいか?

「がん=死」のイメージがあるが、今やがんは当たり前の病気で、日本では男性は2人に1人が、女性は3人に1人が罹ると言われている。まずは落ち着く事が大事。それから対処法を医師や家族と話し合う。

治療を決める際、医師と何をどう話せばよいか?

患者さんごとに症状が違うし、治療で希望する内容も違う。医師の示した治療法を聞き、いくつかの選択肢の中から、自分の希望するものを選ぶ。例えば、放射線が嫌なら温存術でなく、全摘後に再建術を受けるという選択もあるなどのように、よく医師と話し合って治療法を決めていく事が大事。

セカンドオピニオンは聞きに行ったほうがよいか?

他の医師の意見を聞く事は、今ではごく普通のことになってきており、がんの診断の確認や治療法などで迷う事があれば遠慮なく主治医に申し出る事。セカンドオピニオンを嫌がる医師はよい医師と言えない。

術後の後遺症の一つ、リンパ浮腫について

腋窩リンパ節郭清術を受けた人がなりやすい。術後経年数に関係なく起こるので、予防の留意点を守る。専門のクリニックもあり。

乳房再建について

いろいろな方法あり。自分のお腹や背中の筋肉を移動する方法や、バッグを入れて皮膚を半年間かけて伸ばした後にシリコンを入れる方法等があるが、いずれも一長一短あり。繰り返しになるが平成22年度よりシリコン等のインプラントが保険診療になるので希望者が増えると思われる。担当は形成外科医になる。

術後のリハビリテーションについて

術後の腕のつっぱり回避や、手の動きの不自由さを取るために行う。いつ頃から行ったらよいかは、病院によって考え方が違い、統一できていないが、ドレーンが入っている間は軽く行い、抜けてから本格的に行うとよい。

術後の通院・検査のスケジュール

手術して10年ぐらいは再発がないかを見るため、通院する方がよい。現在、その頻度は病院によって違うが、東京都では、スケジュールをはっきり決めて統一する事を目指している。

*Fさん(出席者)所属の乳がん患者会々誌から、飯田医師による講演「乳がんの診断と治療」 (2009年12月)をまとめた記事を、同会の許可を得て、一部転載させていただきました。

乳がん治療の薬剤

*薬剤表記は商品名(一般名)


ホルモン療法の薬剤

アロマターゼ阻害剤

アロマターゼと結合してエストロゲン合成を阻害する。閉経後のみ適応。副作用は、吐き気、食欲不振、めまい、骨量低下など。経口薬。
・アリミデックス(アナストロゾール)
・フェマーラ(レトロゾール)・非ステロイド性
・アロマシン(エキセメスタン )・ステロイド性

LH-RH製剤

脳下垂体に働き、卵巣のエストロゲン産生を妨げる。閉経前に適応。徐放性(徐々に薬効成分を放出する)。皮下注。副作用は、更年期様症状、関節痛、骨量低下など。
・ゾラデックス(酢酸ゴセレリン)
・リュープリン(酢酸リュープロレリン)

抗エストロゲン剤

乳がん細胞のエストロゲンレセプターと結合して、がん細胞の分裂・増殖を阻止。経口薬。 副作用は、更年期様症状、生理不順など。
・ノルバデックス (クエン酸タモキシフェン)・・・閉経前後
・フェアストン(クエン酸トレミフェン)   ・・・閉経後

抗プロゲステロン剤

強力な黄体ホルモン作用で、エストロゲンを減少させる。主に、進行・再発・転移乳がんに適応。経口薬。副作用は、体重増加、ムーンフェイス、血栓症など。
・ヒスロンH(酢酸メドロキシプロゲステロン)

化学療法の薬剤

*副作用は、嘔吐、下痢、口内炎など一般的なもの以外の特徴的なものを記載

アルキル化剤

DNAの2本の鎖を結びつけることによりDNAの複製を妨げる抗がん剤。副作用は骨髄抑制による感染症、出血など。
・エンドキサン(シクロフォスファミド)経口、静注。

アンスラサイクリン系抗腫瘍性抗生剤

DNA構造を直接破壊する細胞障害性の高い抗がん剤。副作用は、心臓障害、骨髄抑制、血管外漏出時の皮膚炎など。
・アドリアシン(ドキソルビシン塩酸塩) 静注。
・ファルモルビシン(エピルビシン) 静注。

代謝拮抗剤

細胞の増殖に必要な物質と構造が似ているため、細胞内に取り込まれてDNA合成を阻害する抗がん剤。副作用は比較的軽いが、骨髄抑制、色素沈着、肝臓障害、消化器障害など。
・フトラフール(テガフール)経口、静注。
・フルツロン(ドキシフルリジン)経口。
・5-FU(フルオロウラシル)経口、静注。
・ゼローダ(カペシタビン)経口。
・TS-1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)経口。
・ジェムザール(塩酸ゲムシタビン) 静注。

微小管阻害剤

微小管に働いて細胞分裂を阻害する、植物由来の抗がん剤。副作用は骨髄抑制、手足の痺れやうつなど精神神経障害、関節痛や筋肉痛、タキサン系では脱毛も。
・ナベルビン(酒石酸ビノレルビン)静注。  ・・・ビンカアルカイド系
・タキソテール(ドセタキセル水和物)静注。 ・・・タキサン系
・タキソール(パクリタキセル)静注。    ・・・タキサン系

分子標的剤

がん細胞に正常細胞より多く出現する分子を標的にして作用するように作られた抗がん剤。検査によって投薬前に薬効を予想できる場合がある。他の抗がん剤とは異なる特有の副作用が起きることがある。
・ハーセプチン(トラスツズマブ)静注。・・・HER2陽性の乳がんに適応
・ラパチニブ(一般名、商品名タイケルブ)経口。・・・HER2とEGFRを標的

ビスホスフォネート製剤

ホルモン療法による骨量減少や骨粗鬆症の予防、骨転移による高カルシウム血症、痛み、骨折などを軽減する薬剤。副作用は軽度の発熱、まれに腎障害、顎骨の壊死など。
・ゾメタ(ゾレドロン酸水和物)静注。

アンサー20

丸山ワクチンと同じ成分で、濃度がAの10倍。放射線治療中の白血球減少抑制剤として、認可されている。皮下注。

制吐剤

抗がん剤の副作用の嘔吐を抑える薬剤。
・カイトリル(塩酸グランセトロン)静注、経口。5-HT3受容体(セロトニン)拮抗剤。
・デカドロン(デキサメタゾン)静注。副腎皮質ホルモン(ステロイド)の働きを強めた制吐剤。

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